「自分ごと」で未来を変える。鳳凰高校普通科探究発表会レポート

12月16日、普通科探究発表会が開催されました!

地域社会の現実的な課題解決から、最先端技術の実装、さらには「感情とは何か?」という哲学的なテーマまで、多種多様な探究発表が行われました。

生徒たちがこれまで仮説を立て検証をしてきた成果のうち、計18グループの発表が披露されました。

また、ただ発表するだけでなく、本校コンソーシアムの方々からの鋭い質問やフィードバックもいただき、普段とは違う刺激的な時間となりました。

発表内容をいくつかピックアップしてご紹介します。

■ 「自販機王国」日本を活かす!

世界一の普及率を誇る「自動販売機」に着目。単に飲み物を売るだけでなく、南さつま市の特産品や、公式キャラ「サンディくん」のグッズ(タオルやシールなど)を販売してはどうか?という提案です。「買う」という日常体験を「地域のファン作り」に変える、ユニークな視点でした。

■ 自動運転バス「EVO」をデザインする

運転手不足を救う自動運転EVバス。そのラッピングデザインを、Meta Quest 3やOpen BrushといったVRヘッドセットを使って3D空間上で制作しました。

「VRだと距離感が掴めなくて手がブレるんです…」という苦労もありましたが、コンソーシアムの方からは「社会に受け入れられるためにはデザインの力が不可欠」と高く評価されました。

■ 地元特化型マガジン『Mマガ』プロジェクト

「南さつま市の魅力が伝わっていない!」という課題に対し、高校生自らがスイーツやグルメを取材してフリーマガジンを制作。

実際に電話でアポを取り、取材を行う「大人の仕事」を経験。「進捗管理の大切さが身に沁みました」という感想には、実感がこもっていました。

■ 「感情」ってなんだろう?

ポジティブ・ネガティブな感情は、すべて生きていくための「アラーム」であると定義。

感情があるからこそ経済や人間関係が成り立つという深い考察に加え、「今後、AIにも『人間らしい感情』が実装されていくのではないか」という未来予測まで飛び出しました。

■ 未来の行政施設「木の葉文庫」構想

庁舎跡地を活用した未来の行政施設を、BlenderやUnreal Engine(3DCGソフト)で制作。プロジェクトメンバーでどのように探究したかの成果を発表しました。

生徒たちは、プレゼンでガラス張りの美しいデザインを提案しましたが、コンソーシアムの方からは「直射日光で本が傷んでしまうのでは?」という現実的な指摘が。バーチャルな理想と現実的な設計について考える良い学びの機会となりました。

■ 触れた感覚になれる!?XRゲームの社会実装

深海魚の「怖い」イメージを払拭するためのXRゲームを開発した生徒が発表。

体験した小学生へのアンケートでは、約7割が「実際に魚を触っている感覚だった」と回答。視覚や聴覚だけでなく、「触覚」へのアプローチが親近感を生むことを実証しました。

【講評】探究のゴールは「自分ごと」になること

この他の発表では、自身のスポーツ活動での悩み(瞬時の判断力不足)を、AIのアドバイス(固定観念の排除など)を取り入れて解決しようと試みた生徒もいました。

発表会の最後、コンソーシアムの方からいただいた講評がとても印象的でした。

「探究活動の真の価値。それは、テーマを『自分ごと』として取り組んでいるかどうかにある」

「当初の計画通りにいかずに壁にぶつかったり、チームで意見が割れたり。そんな『うまくいかなかったプロセス』こそが、社会に出たときに生きる本当の学びになります」

未来を見据え、自分の頭で考え抜いた生徒たちの表情は、とても頼もしいものでした。
この経験を糧に、鳳凰高校生がどんな未来を切り拓いていくのか、これからも楽しみです!